2016.08.31

中国の「民営大学」について(下)

 

Ⅳ:本物と偽物の学校の見分け方=北京市の事例=


 民営高等教育機関(民営大学)で学ぶことを選択しようとしている受験生と保護者が、本物と偽物の学校をどのように見分けるか、学歴教育と非学歴教育にはどのような違いがあるのか、退学するとなったら、学費はどのように返還されるのか?――などについて人民網が北京市教育委員会を取材、質問形式で紹介しており、その一部を引用。

◎北京の民営高等教育機関はすべて国家の承認する学歴の本科・専科の学歴証書を授与できますか?
 回答:いいえ。
 北京の民営高等教育機関は2種類に分けられます。1つは民営普通高等教育機関(独立学院を含む)で、高等学歴教育(大学院生・本科・専科)を実施します。
 もう1つは、民営非学歴高等教育機関で、非学歴教育(例えば、高等教育自学考試〈大学卒業資格認定試験・大学に行けない者が独学で学習し、この試験に合格すると相応の学位を取得できる〉の勉学支援・全日制高等教育研修及び通信教育・社会人教育・短期研修等)を実施、高等学歴教育を実施することはできません。

 民営普通高等教育機関は高等学歴教育を実施することもできますし、非学歴教育を実施することもできます。
 学歴教育は全国統一大学入試の学生募集・学籍管理体系に組み込まれ、学校は学歴教育を受けた学生に対して学歴証書を授与する資格を持ち、そのうち本科レベルの高等教育機関は学士の学位証書を授与することができます。学歴教育を受けた学生の卒業証書及び学位証書情報は中国高等教育学生情報網(学信網)で検索することができます。

 民営普通高等教育機関及び独立学院は自身の学校運営状況に基づいて大学卒業資格認定試験の勉学支援、或いはその他の非学歴教育を展開することが可能で、自ら学生募集規模を確定することもできます。ただし、非学歴教育は全国統一大学入試の学生募集・学籍管理体系には組み込まれておらず、学校は非学歴教育を受けた学生に対して学歴証書・学位証書を授与することはできません。学習履歴の証明として、(学業)修了証書を発行できるだけです。その修了証書は中国高等教育学生情報網(学信網)で検索することはできません。

◎北京で国家の承認する学歴の本科・専科の学歴証書を授与できる民営高等教育機関はどこですか?
 回答:15校です。
 2016年北京市には合計15の学歴教育を実施する民営普通高等教育機関が学生募集をしており、そのうち本科レベルの学校は7校あります。
 特に注意を促したいのは、一部の学歴教育を実施する民営普通高等教育機関は、同時に大学卒業資格認定試験の勉学支援と高等教育研修等の非学歴教育の学生も募集していますが、これらの学生は採用時に全国統一大学入試の学生募集方式に基づく批次と合格ラインによって採用されるのではなく、取得できる学校の授与する学業証書が国家の承認する学歴証書ではないことです。

◎学歴教育を実施する民営普通高等教育機関と公営高等教育機関の本科・専科の学歴証書には違いがありますか?
 回答:違いはありません。
 公営であろうと、学歴教育を実施する民営普通高等教育機関であろうと、授与する全日制普通本科・専科の学歴証書の効力はすべて同じです。北京市の民営普通高等教育機関の学生募集業務では、教育部と北京市の普通高等教育機関の学生募集・管理に関する規定を厳格に執行し、すべて全国統一大学入試の学生募集・管理(体系)に組み込まれます。

◎北京の民営普通高等教育機関の学歴教育と非学歴教育をどのように見分ければよいですか?
 回答:いくつかの見分け方を紹介します。

 1.学生募集要項の登録番号を通して識別する
  民営高等教育機関の学生募集要項と広告は必ず教育主管部門に報告・登録してから初めて出すことができます。学生募集要項と広告の報告・登録後、北京市教
 育委員会は登録した学生募集要項と広告に対して登録番号を付し、学校に対して学生募集要項に登録番号を明記することを求めていますので、要項の登録番号を
 通して(学歴教育であるか否かを)見分けることができます。

 2.採用方式を通して識別する
  教育部の規定に基づき、学歴教育の受験生は省レベルの学生募集部門による採用手続きをしてから、採用する学校及び専攻の情報について公式ルートを通じて
 検索することができます。

 3.教育部門のオフィシャルサイト及びホットラインを通して識別する
  北京の民営高等教育機関は登録した学生募集要項と広告を北京市教育委員会及び北京民営教育協会のサイト上ですべて公開しています。

  これ以外に、受験生は教育部高等教育機関学生募集陽光プロジェクト指定プラットフォーム―陽光大学入試網から学校情報を検索することもできます。学歴教
 育を実施する民営普通高等教育機関は大学バンクから検索することができますが、民営非学歴高等教育機関がこのバンクの中に加えられることはありません。

◎民営非学歴高等教育機関で学ぶとどのような証書を取得することができますか?
 回答:
 民営非学歴高等教育機関で学び、規定の学習を修了すると、学校が授与する(学業)終了証書を取得することができます。終了証書には学歴証書の性質はなく、国家の承認する学歴証書でもありません。
 一部の民営非学歴高等教育機関は、在校生を集めて大学卒業資格認定試験の補習に参加させますが、国家の大学卒業資格認定試験が規定する全課程を通して、試験に合格した者のみが、試験を主管する普通高等教育機関及び大学卒業資格認定試験事務局の印を押捺した国家の承認する専科・本科の学歴証書を受け取ることができます。
 大学卒業資格認定証書は北京市大学卒業資格認定試験委員会が授与するものであって、民営非学歴高等教育機関が授与するものではありません。
 民営非学歴高等教育機関で資格(等級)証書課程の研修に参加し、関連部門或いは業界組織の試験を経て、成績が合格に達していれば、関連部門が発行する相応の資格(等級)証書を取得することができます。

◎民営高等教育機関を退学する時には、どのように学費返還の手続きをすればよいですか?
 回答:
 北京市教育委員会は《北京市民営学校学費返還指導意見》を制定しており、民営学校が学費返還の手続きをする時の参考としています。

 1. 新入生が入学手続き前に学費返還を申し出た場合には、学校は学生に前納した費用全額を返還しなければならず、入学手続きを終えた新入生が学校の課程履修
 開始前に退学を申し出た場合には、学校は学生に納めた学費全額を返還しなければならない。


 2.全日制学校の学生が課程履修開始後の1か月以内に退学を申し出た場合には、学校はその学期の学費の80%以上の金額を返還しなければならない。1か月以降
 2か月以内に退学を申し出た場合には、学校はその学期の学費の60%以上の金額を返還しなければならない。始業2か月以降に学生が退学を申し出た場合には、学
 校はその学期の学費を返還しなくてもよい。学校は学生に既に納付したその後の学期の学費全額を返還しなければならない。


 3.短期・労働時間外研修に参加する学生が、その期の1/2の授業時間が終了する前に退学を申し出た場合には、学校は既に終了した授業時間の割合に基づいて相
 応の学費を差し引き、残りの部分は全額返還しなければならない。その期の1/2の授業時間が終了した後に退学を申し出た場合には、学校は学費を返還しなくても
 よい。

◎民営高等教育機関の二級学院は単独で学生募集をすることができますか?
 回答:できません。
 市教育委員会の規定に基づいて、民営高等教育機関の二級学院は単独で学生募集の宣伝をすることはできません。
 学生募集の出願中に、“××学院護理(看護)学院”、“××学院航空服務(サービス)学院”、“××学院工商管理(経営学)学院”という名義で学生募集を行っている学校に出会いますが、これらの学校が“国家の承認する学歴を授与することができる”、“就職を保証することができる”等と規定に違反した内容を公言していても、学生が入学した後、宣伝していた状況とまったく異なることに気付いたり、甚だしい場合には学校運営を請け負った人物が、納めた学費を持って高飛びし、学生が引き続き学業を修めることができないといったこともあるので、受験生の皆さんは警戒しなければなりません。