2016.07.06

中国の普通高等教育機関の一つである「独立学院」の考察(上)

 

Ⅰ:独立学院とは何か?


 独立学院とは、本科以上の学歴取得教育を実施する普通高等教育機関(申請者)と社会組織(連携者=採算を要求されない学校・研究機関・病院など企業・事業体、労働組合や青年・婦人・学生連合会などの社会民間団体、あるいは個人)が連携して設立し、本科レベルの教育を行う高等教育機関である。

 国家は、「申請者は独立学院の教育と管理に対して責任を負うとともに、学校運営の質についても保証しなければならない。一方、連携者は独立学院の運営に必要な各種環境や設備の提供に対して責任を負い、学院の管理・監督および指導に参画しなければならない」と規定している。

 独立学院は独立法人格・独立のキャンパスや校舎を有し、独立して教育および財産管理・学生募集・卒業証書の授与を行なわなければならない。

 独立学院は大学本科レベルに属しているので、教育部が審査・承認に責任を負う。教育部の審査・承認を経ていないものについては、国家はその学歴について一切承認しない。教育部が審査・承認をした独立学院の名簿は、当サイトの”教育部認可独立学院リスト”で照会することができる。

 ここ数年来、独立学院の調整・規範化・最適化が進められており、2010年に全国で合計323校あった独立学院は、2011年には309校、2012年には303校、2013年には292校、2014年には283校、2015年12月4日までには266校となった。

 

 

Ⅱ:独立学院と民営大学の違いは?


主要な違いとしては次のようなものが挙げられる。

1.民営高等教育機関は民営教育促進法に基づいて設立されたものであるが、独立学院は教育部の行政規則に基づいて設立されたものである。

 独立学院は必ず大学本科であるが、民営高等教育機関には専科(高等専門学校)と大学本科のどちらもある。

2.独立学院の申請者は必ず普通高等教育機関で、連携者は社会組織であるが、民営高等教育機関は社会組織のみが申請者となる。

 これは両者を区別する最も簡単なポイントである。

3.民営高等教育機関は独自の校名・組織機構・教員資源・キャンパスを所有し、自ら独立して卒業証書を授与する。

4.独立学院は一般的にある大学の名の下に設置される。たとえば、山西大学商務学院・海南大学三亜学院などである。

 これらの学院は、母体大学と同じキャンパス、教員面での共有や交流も考えられる。 両者はともに企業法人の性質を有し、独立の財務体系を持ち、

 経営上の損益について自ら責任を負うというように、すべて自己負担のもとで運営される。

    5.独立学院では、卒業時に成績優秀であれば、母体大学の卒業証書の使用を薦められる。この種の卒業証書は(母体大学の卒業証書とは)

     いささか違いがあるかもしれない。たとえば、北京大学本校の卒業生は赤い卒業証書を受け取るが、独立学院の北京大学卒業証書は青色である。

     

     

Ⅲ:独立学院にはどのような特徴があるのか?


 独立学院には三つの大きな特徴がある。
 第一に、すべて民営メカニズムを採用していることである。
 必要経費の投資およびその他の関連支出は、すべて連携者が負担するか、もしくは民営メカニズムによって調達し、学費徴収基準は国家の民営高等教育機関の学生募集と学費徴収に関する政策に基づいて制定する。

 第二に、新たな学校運営モデルを実施していることである。
 その重点は“独”の文字を強調していることにある。独立学院は独立したキャンパスと基本的な学校運営施設を備え、相対的に独立した教育の組織化と管理を実施し、独立して学生募集を行い、独立して卒業証書を授与し、独立して財務審査を行わなければならず、独立法人格を有し、独立して民事上の責任を負わなければならない。

 第三に、新たな管理体制を実施していることである。
 独立学院の管理制度と方法は、申請者と連携者が協議の上決定する。

 

 

Ⅳ:独立学院はどのように学生募集をするのか?


 独立学院は大学本科レベルの学歴教育を実施するが、主に国家経済と社会発展のために至急必要な専攻を開設している。学生募集を行う時には、独立学院は通常高等教育機関の年度学生募集計画の中に組み入れられるとともに、合格点ラインを適宜引き下げ、本科三批(独立学院や民営高等教育機関などを対象とした合格ランク)の中で学生採用を行なわなければならない。

 独立学院の学生募集計画では、所在地の省級人民政府が国家の通達する普通本科学生募集計画の総数内で統一的に(各校に対する募集学生数を)割り振る。独立学院の学生募集の基準は、一般的にその地の本科の最低合格ラインを下回ってはならず、具体的な学生募集と合格ランク・方法および戸籍に対する管理と卒業生の就職など関連政策は、所在地の省級人民政府が国家の関連する法律や規定に基づいて制定する。独立学院の学費徴収基準は、所在地の省級人民政府が国家の民営高等教育機関の学生募集と学費徴収に関する政策に基づいて制定する。

 

 

Ⅴ:独立学院の本科学生募集とその他の普通本科高等教育機関の学生募集には、どのような相違と共通点があるのか?


 独立学院はその他の普通高等教育機関と同じく、国家が承認する高等学歴教育の学生募集資格を具えた普通高等教育機関である。異なるところは学生採用にある。一般的には、(一般の国公立高等教育機関は)本科二批次(ランク)に、(独立学院は)本科三批次(ランク)に設定されて(それぞれのランクの足切りラインを超えた志願者の中から)学生が採用される。

(続く=このコラムは捜狐ネット教育、高考ネット、中国青年報、教育部、百度百科などの情報を参照にしています)